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小児科専門医の相談室⑪          「日本の子どもの睡眠が危ない」

 

日本人の平均睡眠時間は、大人で約7.4時間、0~3歳の子どもで約11.6時間と、世界的に見ても非常に短いとされています。ちなみに、ニュージーランドでは大人が8.6時間、子どもは13.3時間の睡眠を確保しています。


睡眠と覚醒のリズムが不規則になると学業成績の低下を招き、さらに睡眠習慣の乱れはメンタルヘルスの悪化にもつながることが知られています。一方で、睡眠を改善することで、健康状態や運動パフォーマンスの向上が期待できます。


それでは、子どもにとって適切な睡眠時間はどの程度なのでしょうか。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」などによると、以下の睡眠時間が推奨されています。


 ・1~2歳:11~14時間

 ・3~5歳:10~13時間

 ・小学生:9~12時間

 ・中高生:8~10時間


しかし、「子ども健康推進プロジェクト」の実態調査によると、どの学年でも約9割の子どもが睡眠不足であることが分かりました。

思春期を迎える前後になると、体内時計のリズムが後ろ倒しになり、夜型傾向が強まります。

しかし、学校の登校時間は一定であるため、平日は慢性的な睡眠不足になりがちです。そして、週末に起床時間を遅らせることで、いわゆる「社会的時差ボケ」が生じます。このような生活リズムは、授業中の眠気や集中力の低下、さらには健康状態の悪化につながるとされています。


そのため、平日の十分な睡眠時間の確保や、就寝時間を早める努力、週末の夜更かしを避けることが重要です。また、子ども自身が自分の睡眠を管理する意識を持つと同時に、保護者の積極的な関与も必要不可欠です。


幼少期からの睡眠改善が重要です。早い段階で睡眠の乱れを検知し、積極的に対策を講じることで、子どもたちの心身の不調を予防・改善しましょう。




                          








2025/7/18

  日本女医会 小児救急・子育て支援委員会

                新谷 朋子

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