top of page

小児科専門医の相談室⑲       「こどもの難聴 ― 早く気づき、早く支えることの大切さ」


「こどもの難聴」は決して珍しいものではありません。生まれてくる赤ちゃんの約1000人に1人は先天性難聴をもって生まれ、成長の過程で難聴が見つかる子どもを含めると、小児期では約1000人に2人に難聴があるとされています。


先天性難聴では、早期発見・早期療育がとても重要です。現在は新生児聴覚スクリーニングが普及し自治体から補助もあり推奨されています。生後1か月までに難聴を発見し、3か月までに診断、6か月までに補聴器などの適切な対応をして療育を行うことが推奨されています。この時期に支援を始めることで、ことばの発達や円滑なコミュニケーションにつながりやすくなることがわかっています。



一方で、新生児期に聴力が正常と判定されても、その後に難聴が起こらないとは限りません。成長とともに徐々に進行する場合や、ある日突然難聴を発症することもあります。原因は内耳の構造の異常(内耳奇形)や遺伝的要因、感染症、頭部外傷、薬剤の影響などさまざまで、原因が特定できないことも少なくありません。


近年注目されている原因の一つがサイトメガロウイルス感染です。これは出生前後の感染によって難聴を引き起こすことがあり、早期に抗体検査を行い、生後2か月までにウイルスに対する治療を開始すると、難聴の進行を抑えられる可能性があることが知られています。そのため、新生児期の検査や丁寧な経過観察が重要です。


難聴は、音が聞こえにくいだけでなく、ことばの理解や社会性の発達にも影響することがあります。「聞こえが悪いのではないか」と少しでも心配を感じたら、迷わず耳鼻咽喉科で聴力検査を受けましょう。


ree









2026/1/7

  日本女医会 小児救急・子育て支援委員会

               新谷朋子

 
 
bottom of page