top of page

【第7回受賞】継続して医療を提供するために

福地眼科 福地 麗

 様々なライフイベントを通じて人生の深みを得た医師は、AIが医療の一翼を担うようになっても今後も必要とされると思われる。  ジェンダーフリーの概念が浸透しつつある現在、女性医師と限定することは適切ではないかもしれない。が、日本社会では現在も性別役割分業傾向が欧米諸国と比して強い。  家事・出産・育児を比較的主役として担いがちな女性医師は、仕事との両立に今も悩みながら模索している。職場は24時間急変対応もあり少数で長時間労働となっていることが多く、妊娠・出産などで配慮がなされれば他医師の負担が重くなり不公平感が強くなる。  周囲のサポートが得られなければ継続して医療を提供することは難しく、様々な事情をかかえる全ての医師が働きやすい環境整備が必要と考える。  例えば、大学附属病院や基幹病院の平日日中の病棟業務や外来などを短時間勤務の医師が担うことが出来ればこの医師は他の医師診療方針を検討したりと研鑽する機会が与えられるし、他の医師は多様なキャリアプランを実行する医師との交流から自身のキャリアプランを多角的に検討したり、手術や研究に時間を割くことが出来る。決められた日に登院出来なければ、数人でワークシェア勤務を検討してもいいのではないだろうか。  まだ社会の中には医師について幻想があるように感じることもあり、医師であっても一人の人間で個々の生活や事情があり厳しい労働環境の中医療を提供している実情を社会に発信していくことも必要と思われる。

最新記事

すべて表示

【第7回受賞】それは本当の女性医師だからの問題なのでしょうか?

福井大学医学部附属病院呼吸器内科・医員 門脇 麻衣子 私が医者として仕事を始めた今から20年ほど前は、女性医師への社会の印象はあまりよくなかった。特に田舎では男尊女卑の考えが根強く残っていた。診察室の外から、「男先生(おとこせんせい)でお願いします」と言う患者さんの声が聞こ...

【第6回受賞】イクボスになる!

秋田大学医学部総合地域医療推進学講座 准教授 蓮沼 直子 近年、秋田大学医学部では女子医学生が4割を超えたが、医師全体でも20%超となった。また医師国家試験合格者に占める割合も平成12年から30%を超え、今後10年の間に40代女性指導医の割合は3割を超える。しかし、女性医師...

【第6回受賞】継続するということ

氷川町整形外科・皮ふ科 城所 朋子 私は今年で医師となり25年目。4年前に皮膚科を開業した。同期の中では遅い方である。二人の息子の子育てもひと段落つき、現在は、地方に単身で暮らす要介護5の母のもとに月に数回、飛行機で往復している。入院すれば、平日でないと先生と話もおろか、受...

Comments


bottom of page