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新しい治療とトピックス

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COPDのトータルマネジメント ~身体活動性~

東京女子医科大学付属青山病院 呼吸器内科

辻 隆夫

COPDの定義

Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD : 慢性閉塞性肺疾患)は、主にタバコ煙などの有害物質を長期に吸入することで生じる肺の炎症性疾患です。階段や坂道を昇る時などの労作時の息切れ、慢性に続く咳や痰が典型的な症状ですが、これらの症状があまりみられないこともあります(1)。

COPDの診断

COPDの診断 長期にわたる喫煙歴のある方、なくても上記症状がみられる方に対してCOPDを疑います。気管支拡張薬(主に短時間作用性β2刺激薬)を吸入後に行った肺機能検査(スパイロメトリー)でも一秒率(FEV1/FVC)(※)が70%未満であり、その他に気流閉塞を起こしうる疾患が除外された時にCOPDと診断されます(1)。(※)一秒率=FEV1(1秒量)/FVC(努力肺活量)

COPDの管理

COPDの管理は、1:症状(Quality of life: QOLも含む)の改善、2:運動耐容能と身体活動性の向上および維持、3:増悪の予防、4:疾患の進行抑制、5:全身併存症および肺合併症の予防と治療、6:生命予後の改善、を目標とします(1)。その目標にむけ、禁煙指導、薬物療法、呼吸リハビリテーション、酸素療法、補助換気療法、外科療法などの治療を行ないます。

COPDと身体活動性

“運動耐容能と身体活動性の向上および維持”、はCOPDの管理目標の一つです。運動耐容能とは運動の能力を示し、最大運動時の酸素摂取量、自転車エルゴメーターにおける最大仕事量、あるいは6分間歩行試験の歩行距離などで測定を行います。一方、身体活動性は日常の生活習慣の指標になります。身体活動性はCOPDの管理において非常に重要である認識が昨今高まっています。このため、第3版のCOPDガイドラインでは“運動耐容能の改善”のみが管理目標にされていましたが(2)、新しい第4版のCOPDガイドラインでは“運動耐容能と身体活動性の向上および維持”として、新たに身体活動性が管理目標に加えられています(1)。

COPDと身体活動性

これまでも身体活動性の低下がCOPDの予後に影響することは知られていたのですが(3)、他の因子と比べても最もCOPDの予後に相関することが2012年に示され(4)、身体活動性はCOPDの管理において非常に重要である認識が高まりました。

身体活動性の評価

身体活動性は近年注目されてきた指標であり、その評価法として確立された標準法はまだありません。質問表、歩数計、加速度計、代謝モニターなどが用いられますが、代謝モニターは高精度ですが臨床では使用しにくく、質問表は簡便ですが精度は低下します。このため、実臨床ではより実用的な方法で身体活動性を評価し、その結果をフィードバックし身体活動性への意識を高めることが重要とされています(5)。

身体活動性の維持

日常の身体活動レベルの維持に主眼を置きます。生活スタイルに組み込まれるような無理のない運動を継続して、QOLがより良い状態で維持されることを目指します(1)。

おわりに

運動負荷試験で評価される運動耐容能と異なり、身体活動性は日常の生活習慣であり、“鍛える“ものではありません。身体活動性の評価法として確立された標準法はまだありませんが、医師は日常臨床においてCOPDの方の運動耐容能を”鍛える”より、日常の身体活動レベルの維持に主眼を置いて指導する方が、管理として導入しやすいのではないでしょうか。 身体活動性の維持には薬物療法のみならず非薬物療法もevidenceとして認められています6)。COPDの管理として薬物療法だけでなく非薬物療法も含めたトータルマネジメントが求められています。

キーワード

SGLT2阻害薬、2型糖尿病、経口糖尿病薬

参考文献

  1. 日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会. COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版. 2014.
  2. 日本呼吸器学会COPDガイドライン第3版作成委員会. COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版. 2009.
  3. Garcia-Aymerich J, Lange P, Benet M, et al. Regular physical activity reduces hospital admission and mortality in chronic obstructive pulmonary disease: a population based cohort study. Thorax 2006; 61:772-778
  4. Waschki B, Kirsten A, Holz O, et al. Physical activity is the strongest predictor of all-cause mortality in patients with COPD: a prospective cohort study. Chest 2011; 140:331-34.
  5. 南方 良章. COPD の身体活動性をめぐるサイエンス, 身体活動性の評価法. 日呼吸誌, 4(1): 8-14, 2015.
  6. Spruit MA, Singh SJ, Garvey C,et al. An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: key concepts and advances in pulmonary rehabilitation. Am J Respir Crit Care Med 2013; 188: e13-64.

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