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新しい治療とトピックス

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アクトヒブ(Hibワクチン)について

日本女医会理事
スワミチコこどもクリニック院長

諏訪 美智子

はじめに

CNN.Comにアクセスし、3月8日Hib ・ Prevener Vaccine のニュースを見て 頂くと、Hibワクチンとプレベナーワクチンが厚生労働省の判断で中止になった事に 関して取材を受け、コメントが放映されています。

厚生労働省は、がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針(2016年2月4日一部改正)で、「乳がん検診の検診項目は、問診及び乳房エックス線検査とする」と明記した。2000年に導入した視触診+マンモグラフィから、マンモグラフィ単独検診へ舵を切ったことになる。そこで、マンモグラフィ検診の利益と不利益について簡単に記述したい。

Hibワクチンは1987年に欧米で承認され既に世界120カ国以上で普及し、1988年にWHO から乳幼児への定期接種勧告が出された。現在90カ国以上の国で定期接種として組み入れられている。アメリカでは1990年に生後2ヶ月からの定期接種になり、2000年迄の10年間でHib髄膜炎の患者数が99%減少し、このワクチンの有効性を示した。先進国の中で唯一導入されていなかった日本でもHibワクチンは2007年1月に承認され、2008年12月にフランスのサノフィパスツール社製のHibワクチン「Act・HIB」を第一三共株式会社が販売するという形でやっと接種が可能になったが、現段階ではまだ任意接種となっている。

インフルエンザ菌b型(Hib)とは

*きょう莢まく膜株
(血清型b)・・・髄膜炎、肺炎、咽頭蓋炎、敗血症(重篤な全身感染症)
(血清型a、c、d、e、f)・・・上記と同じ(まれ)
*無莢膜株・・・・・・・・気管支炎、虫垂炎、結膜炎、副鼻腔炎(軽い局所感染症)

インフルエンザ菌b型は細胞壁に莢膜を有する莢膜株で6つの血清型のうち血清型b型に分類され、Hibと呼ばれる。ヒトの鼻咽頭に飛沫で感染し、その菌が病原菌となり喉頭蓋炎、肺炎や敗血症などの全身感染症を起こす。さらにHibは、小児の重篤な感染症である細菌性髄膜炎の起炎菌の約60%を占めている。インフルエンザ菌性髄膜炎は多くの場合、生後3ヶ月から5歳未満の乳幼児がかかりやすく、日本では年間約600人が発症し、そのうち約30人(約5%)が死亡し、約150人(約25%)に知能障害や聴力障害、てんかんなどの後遺症が残るという予後の悪い感染症である。近年は抗生物質が効かない耐性菌が増えている。また、Hibは乳幼児に感染しても他の多くの細菌やウイルスとは異なり抗体ができず、何回でも感染する。

アクトヒブ(Hibワクチン)について

日本で現在使われているHibワクチンは、フランスのサノフィパスツール社が製造元の「アクトヒブ」である。
①アクトヒブは破傷風トキソイド結合体である。
Hibの莢膜多糖体PRPはT細胞非依存性抗原でB細胞を直接刺激するため、B細胞が未熟な乳幼児では免疫原性が発現できない。T細胞免疫原性を持たせるため、莢膜多糖PRPにキャリア蛋白として破傷風トキソイドを結合させて作られた結合体ワクチンである。ちなみにキャリア蛋白としてアメリカで使用されているワイス(現ファイザー)社の「HibTITER」はジフテリア変異毒素、メルク社の「pedraxHIB」は髄膜炎菌外膜蛋白が使われている。
②ゼラチン、アルブミン、チメロサール(水銀)を含有しない凍結乾燥製剤で、添付溶剤の入ったシリンジとのセットで1回用包装品である。
③製造の初期段階にウシの成分が使用されているが、その後の精製工程を経て製品化されているので、このワクチン接種が原因でTSE(伝達性海綿状脳症)にかかったという報告例は1例もなく危険性は殆どないと考えられている。
④有効性(免疫原性)
2~6ヶ月齢の健康乳幼児を対象とした国内の試験では3回接種の初回免疫で0.15μg/ml(感染予防レベル)以上の抗体保有率は99.2%で1μg/ml(長期感染予防レベル)以上の抗体保有率は92.4%であった。また、初回免疫終了1年後の追加免疫により長期感染予防レベルは100%に達しブースター効果が認められている。
⑤承認時の国内臨床試験の副反応出現率は61%で注射部発赤44.2%、注射部腫脹18.7%、注射部硬結17.8%易刺激性(不機嫌)14.7%等であった。海外では重大な副反応としてショック、アナフィラキシ―様症状けいれんや血小板減少性紫斑病が報告されている。

Hibワクチンの接種スケジュール

Hibワクチンの接種は2ヶ月齢以上5歳未満の者に行う。
①標準的な接種
接種開始年齢・・・2ヶ月齢以上7ヶ月齢未満
初回免疫・・・・・通常3回、4~8週間の間隔で皮下に注射する。但し医師が必要と認めた場合には3週間の間隔で接種可能。
追加免疫・・・・通常初回免疫後おおむね1年の間隔をおいて1回皮下に接種する。
②上記の接種にもれた場合
接種開始年齢・・・・7ヶ月齢以上12ヶ月齢未満の場合
初回免疫・・・・通常2回、4~8週間の間隔で皮下に注射する。但し医師が必要と認めた場合には3週間の間隔で接種可能。
追加免疫・・・・通常初回免疫後おおむね1年の間隔をおいて1回皮下に接種する。
接種開始年齢・・・・1歳以上5歳未満未満の場合、通常1回皮下に接種する。

③他のワクチンとの接種間隔
生ワクチン接種からは27日以上、不活性化ワクチン接種からは6日以上の間隔をおいて接種できる。
また、Hibワクチンの対象年齢はBCG、DPT(ジフテリア・百日せき・破傷風混合ワクチン)やPCV7(小児用7価肺炎球菌結合型ワクチン「プレべナー」)などの接種年齢と重なるので、医師が必要と認めた場合には同時に接種する事も可能である。

最後に、Hibワクチンのアクトヒブは2008年12月からの導入当初は需要が供給を大きく上回り、しばらくの間ひと月あたり病院には10人分、診療所には3人分ずつのみという入荷制限となってしまった。このため、生後すぐに予約しても数ヶ月以上の入荷待ちで接種したくともできないと言う状態が続いていたが、2010年9月よりワクチンの配給が大幅に増え、この長期間の入荷待ちは解消されている。

キーワード

細菌性髄膜炎、Hib感染症、インフルエンザ菌b型(Hib)、Hibワクチン

主要文献

  1. 富樫武弘:臨床と微生物 2005;32(5):511-516
  2. CDC:Progress toward elimination of Haemophilus influenzae type b invasive disease among infants and children-United States.
  3. Adams WG et al : Decline of childhood Haemophilus influenzae type b (Hib) disease in the Hib vaccine era. JAMA 269:221-226, 1993

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