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2000.05.20 
第20回 平成11年度受賞 安部 由美子  

「胎児-胎盤系におけるインヒビン、アクチビンについて。研究助成受賞とその後の研究」

群馬大学医学部保健学科検査技術科学専攻 基礎検査学講座
安部由美子

受賞後、羊膜細胞を用いた研究への進展

 2000年5月、研究課題「妊婦血中インヒビン動態と胎児-胎盤系におけるインヒビン/アクチビン産生に関する研究」に対し、平成11年度日本女医会研究助成をいただいた。
 インヒビンとアクチビンは、TGF-βスーパーファミリーに属する増殖因子である。FSH分泌調節因子として卵巣から単離されたが、アクチビンは種々の組織で産生されており、インヒビンは、霊長類では黄体と胎盤においても産生、分泌されることを特徴とする。妊娠時には非妊時に比べ、血中インヒビン、アクチビン濃度は高値となり、母体血中インヒビン濃度は、妊娠高血圧症候群、子宮内胎児発育遅延、ダウン症候群児の妊娠で、アクチビン濃度は妊娠高血圧症候群で高値となる。
 以上により、当初は、胎盤の絨毛膜細胞を用いたインヒビン、アクチビンの産生調節機序の解析を企図した。しかし、当時、学内の診療科で羊膜が再生医療に用いられ始め、所属の研究室で院内臨床研究「羊膜における成長因子/サイトカインの作用および産生調節機序」を担当する必要が生じたこと、羊膜におけるインヒビン、アクチビン産生調節機序に関する知見が乏しいこと、羊膜は卵膜の最内層に在って羊水を分泌する組織であるため、羊膜で産生されるインヒビン、アクチビンは胎児に直接影響する可能性があることより、羊膜細胞を用いて"胎児-胎盤系におけるインヒビン、アクチビン"の研究を始めた。
 この研究過程で、DNA microarrayとquantitative PCRによりdioxinにより羊膜上皮細胞で発現が誘導される遺伝子の包括的探索を行い、インヒビン、アクチビン・サブユニットの発現には影響しなかったものの、dioxin誘導性遺伝子を同定することができた。また、絨毛膜羊膜炎では羊水中のTNF-α濃度が上昇することが知られているが、この培養系においてTNF-αによりアクチビン産生が増加する知見を得ており、現在、研究を進めているところである。

現在の研究にも役立つ研究助成受賞

 ところで、女医会よりいただいた研究助成は、蛍光プレートリーダーとプレートウオッシャーの購入に充てた。借用中であった機器一式を助成金で購入することができた。科学研究費をこの様な機器の購入に充てることはできないため、研究助成をいただいていなければ購入できなかったと思われる。上記では省いたが、インヒビン、アクチビンには複数の分子種が存在し、胎盤ではインヒビンAとアクチビンAが産生されている。現在、世界的に用いられているインヒビンAとアクチビンAの測定法は検体の前処理を必要とする酵素免疫測定法である。現職に異動時にこれらの機器も移動させ、最近、インヒビンAとアクチビンAの蛍光免疫測定法の検討を始めた。研究助成をいただいたことは公募職への応募の際にも有益であったが、身近にある機器となって現在の研究にも役立っている。研究助成はこれからも女性医師達をいろいろな形で支援すると考えられ、若い女性医師達が積極的に応募することを期待している。

Abe Y, Sinozaki H, Takagi T, Minegishi T, Kokame K, Kangawa K, Uesaka M, Miyamoto K. Identification of 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD)-inducible genes in human amniotic epithelial cells. Reprod Biol Endocrinol. 2006 May 17;4:27;1-9.

Abe Y, Minegishi T, Leung PKC. Activin Receptor Signaling. Growth Factors. 2004 Jun;22(2):105-110.

キーワード:インヒビン アクチビン 羊膜


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