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1997.05.24 
第17回 平成8年度受賞 岩平 佳子  

「乳房再建の発展・普及とともに」

医療法人 社団ブレストサージャリークリニック
岩平佳子

乳房再建が乳癌患者さんに与えるもの

 今から約15年前、まだ乳癌手術をしても、なかなか乳房再建をしようといってくれる外科医もいなかった頃、欧米では当たり前の乳房再建を留学先で勉強してきた私は何とか日本でもこれを当たり前にしたいと思っていた。それには悪者扱いされていたシリコンインプラントの安全性も証明したかったし、腹直筋皮弁の安全性も確立しなくてはと思い研究を思いたった。当時大学病院で助教授にはなったが、講座ではない研究室ではそのための予算も出ず、途方に暮れていた時に平敷先生から学術研究助成のお話を伺った。幸いにも申請が認められ、これを使って乳房再建の研究を行うことができた。
 現在、本邦では25人に一人に乳癌が発生すると言われている。一方、早期発見、早期治療がなされ、乳房温存術の割合も上がっている。しかし、不運にも乳房を切除することになった患者さんに対し、「切除しても再建できますよ」という一言がどれほど心強いことであるかを実感している今日この頃である。初めは伏し目がちで暗かった患者さんたちが、乳房ができていくにつれ、どんどんおしゃれになり明るくなっていく。全国へ講演に行けば、乳腺外科医をめざす若い医師たちが「先生が再建して下さった患者さんを見て、乳房が再建されて初めて乳癌治療が完結したと言えると思いました」と目を輝かせて話してくれるようになった。
 6年7か月前に日本で初めての乳房再建専門のクリニックを開業して以来、現在までに約4000件の乳房再建手術を日帰りで行ってきた。最近では積極的に再建を勧めてくれる外科医も増え、また手術や診療にご主人や息子さんがつきそう姿もしばしば見受けられるようになった。毎週末には全国から興味をもった先生方が見学に来てくださる。医師にしろ家族にしろ「結婚しているから必要ない」とか「若くもないのに何故再建が必要なんだ」といったセクハラまがいの発言をして乳房再建に反対していた男性がいた頃のことを思うと隔世の感がある。

乳房再建の専門医として-今後の展望

 開業医になってもアカデミックさは失わないように、これまでも学会発表や論文執筆は続けてきた。依頼されれば教科書も書いた。これが韓国語に翻訳され韓国でも出版された。そのくらいアジアにおける乳房再建の歴史は新しいのである。これから益々、自分にしかできない乳房再建の長期経過や合併症などのエビデンスを出していくことが務めだと考えている。当時とは逆に、お金はあっても研究のつてやマンパワー、時間が取れないことが目下の悩みである。しかしこれも大学時代、研究の大切さを学び、日本女医学会に助成していただいたおかげである。若い女性医師の方々も、早く自分の専門性を見つけ、臨床を裏付けられる研究をしていっていただきたいと心から願っている。

文献:
1)岩平佳子編 乳房再建術 スペシャリストの技のすべて 南山堂 2005 東京
2)岩平佳子、山川知巳、丸山優ほか:注入ポート一体型textured typeティシュエキスパンダーによる乳房再建 日形会誌 24:771-778,2004
3)岩平佳子 放射線照射例に対する人工物による乳房再建の検討 日形会誌 29:337~346,2009

(仮)キーワード:乳癌 乳房再建 エビデンス 


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