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2006.05.20 
第26回 平成17年度受賞 増子 佳世  

「学術研究助成受賞からの研究と成果、その後の発展」

聖マリアンナ医科大学 生化学教室
増子 佳世

ANGPTL-4に関する知見と一連の軟骨研究

 私が研究助成をいただいたのは「関節軟骨における血管新生制御因子ANGPTL-4の発現機構および機能解析」という研究課題についてであった。無血管組織である成熟関節軟骨に血管新生に関わる分子が発現していることを見出し、その研究について名誉ある助成をいただいたものの、受賞当時はこの分子が軟骨でどのように機能しているのかは未知であった。
 しかしその後実験を重ね、ANGPTL4 (Angiopoetin-Like 4)が軟骨細胞からの蛋白分解酵素(MMP)産生機構の一部を制御しうることが判明し、関節疾患の病態形成との関連が示唆された。
 これらの知見を、東京女子医大出身の整形外科医である村田三奈子先生(現・聖マ医大非常勤講師)始め共同研究者の先生方と、日本リウマチ学会、米国リウマチ学会(ACR)、欧州リウマチ学会(EULAR)などに発表し、総括として整形外科専門誌に原著論文を投稿し受理された(1)。
このような成果が評価され、2008年11月に韓国・ソウルのKonkuk(建国)大学の先生方に招聘されて、同大学主催の国際シンポジウムでの発表の機会をいただいた。また2009年には、日本学術会議の「日本・カナダ女性研究者交流事業」の派遣研究者に選ばれ、カナダのアルバータ大学およびオタワ大学でANGPTL4関連を含む一連の軟骨研究について発表を行い、現地の女性研究者や女性医師と交流し、意見交換するという機会にも恵まれた。
 その後も研究を続けており、国内外の学会や専門誌に関わる仕事が増えつつある。

医学研究に携わる女性医師として

 医学研究は知的興奮に満ちており、臨床と比べて比較的時間が自由になることから女性医師に向いているように思うが、一方で、自分の研究についての"結果"が常に求められ、内外の厳しい評価にさらされ続けることになる。また、研究を続けること、もしくは高いポストや競争的グラントを得ることなどに関して、現状では女性医師には男性医師と比べてときに不利な面が存在することも否めない。
 こうした中、日本女医会の学術研究助成では、それまで地道に続けていた研究を評価していただけた。受賞の席で女医会の先生方から温かいお言葉もいただき、感謝とともに改めて関節疾患の病因解明に向けての決意を新たにしたことを覚えている。これから研究を行おうとする女性医師の方々には、ぜひ応募を勧めたい。
 現在、私は医学部生化学教室の講師として生化学の講義・実習に追われながら研究し、また内科の外来診療も続けており、いわば臨床と基礎の中間の立場にある。今後はこの立場を活かしてさらに研究課題を広げ、より身近で臨床に近い成果を目指すとともに、日本の女性医師が柔軟に仕事できる環境の整備を目指して、日本女医会のご指導のもとに努力していきたいと考えている。

1. Murata M, Yudo K, Nakamura H, Chiba J, Okamoto K, Suematsu N, Nishioka K, Beppu M, Inoue K, Kato T, and Masuko K. (2009) Hypoxia upregulates the expression of angiopoietin-like-4 in human articular chondrocytes: role of angiopoietin-like-4 in the expression of matrix metalloproteinases and cartilage degradation. J Orthop Res 27, 50-57

キーワード:軟骨細胞、変形性関節症、医学研究


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